気ままに生きる
 小学生の頃はお袋は喫茶店とか水商売をやっていたから家にあまりいないし、兄弟もいっぱいいるから誰がお袋かわからなかった。中学生になる前にははっきりわかるようになったけど、それまではあーちゃんとお袋のことを呼んでいた。

 面倒をみてくれたのはおばあちゃんで、他の人はほとんど家にいなかった。おじいちゃんはリヤカーで駄菓子やさんをやっていたし、みんなで住んでいたんだけど入れ替わりいなくなっちゃったりしていた。

 住んでいたのは長屋っぽい通りだったから、子供がひとりでいればまわりはみんな面倒見ていたね。

 でもね、ハーフはいじめられるんだ。近所には年が違うやつがいっぱいいるから、男同士遊んでいても年上が仕切るし、なにがあっても我慢するしかなかった。よく濡れ衣を着せられて自分のせいにされることが多かったよ。

 だから、ひとりで山や海で遊んでいると気を使わずにすんだ。自分で好きなように遊べた。人と遊ぶのは本当に気のあったやつひとりかふたりで良かったんだ。
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