気ままに生きる
 アルバム「晩餐」のレコーディングの時はスタジオに置いてあったから久しぶりにテスコ(日本の楽器メーカー、カワイ楽器の系列になり後にブランドも消滅)のベースを使った。レコーディングされた曲のほとんどをテスコのベースで弾いているよ。

 アルバム最初の曲の「That Will Do」は柳田ヒロが中心に作ったやつで、それだけは既にできていたかな。それ以外の曲作りはこうやっていこうとか特に考えることもなく、信輝といいなと思ったフレーズをこんな感じって弾きながら、ある程度コードだけ決めてセッションでやっていった。

 その場で作ったにしてはいい曲だなあって思うよ。720での演奏は自分もテレビで見たけど、結構すごいなって思った。インストで即興で弾くああいう曲は新しかったと思うんだ。柳田ヒロのキーボードはうまいよ。

 あの時のベースの音はかなり割れているけど、ファズは使っていないんだ。テスコのベースは実は意外とパワーがあってよく歪んでくれた。スタジオに置いてあったやつだからね。弦も古いし。だからあんな音になったんだろうね。

 アンプはヤマハのもので高層ビルみたく上が少しすぼまっていて、ゆるやかに下が広がっているのがあったんだ。それがいい音していた。スタジオのアンプは結構いいのが置いてあるから、気にしたことはないけどね。ボリュームをいっぱいにするともちろん割れちゃうんだけど、そのギリギリのところがいい音がするんだ。

 曲のタイトルが「That Will Do」以外はみんな面白い不思議なものになっているけど、「穴のあいたソーセージ」とか、ほとんど信輝がつけたはず。俺は自分が作ったベース・ソロの曲に「禿山」とつけたけど、あれは本牧の俺んちのそばにあってよく遊んでいた山のことだよ。「レバー・ジュース自動販売機」は自分が考えたどうかも不明だなあ。
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