先輩
先輩。
「今日は、来週に実施される会議に向けての準備を行いたいと思う。資料作成を書記の泉、予算の計算を会計の松川、それから…」
生徒会に入って三カ月。
私、松川萌奈は、南木場高等学院の生徒会本部役員会計を務めている。
だいぶ仕事にも慣れてきたし、生徒会メンバーにも馴染んできたと思う。
「松川、ちょっと来て。」
「はい、会長。」
「予算の計算についてだけど、資料を見てみると、科学部と写真部の部費にムダがあるように思えるから、顧問と部長に確認をとってきてくれるかな?」
「わかりました。」
そして私は…会長、‘津島翔’に恋をしている。
ちょっとクセのついた黒い髪に、整った顔。
それに加え、優しくて頼りがいがあって、男らしい先輩は、女子の憧れの的だ。
ここまで完璧な人を、女子が放っておくはずがない。
そう、先輩は雲の上の存在。
私みたいな、可愛くもない後輩なんて届くはずのない存在。