とても微かな愛の言葉を。

「……来年、来年ね、ちゃんと言う、から」


むせ返る位の彼の香りの中で、私はそれだけ呟いた。


「うん、」


もう、何も言わなくて良い、そんな風に、彼はまた、優しく頭を撫でた。



「あは、泣いちゃいそうー」

「泣くなよー」


もちろん、君の前じゃ泣かないよ。


送り出すのは、最大限の笑顔で。


「頑張ってね。いってらっしゃい」


「もちろん。いってきます」



笑顔で、手を振る。



君が頑張るなら、私はもっと頑張るよ。


疲れた君を癒やせるような、そんな女の子になるから。




『だいすき』




今はまだ言えないその言葉を、彼が居なくなった庭で、そっと呟いた。




*とても微かな愛の言葉を*

(触れて、感じて、私たちは、半歩前進した)
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