この想いに気づくまで
序章
今思えばあいつと出会えたことは
奇跡に近かったんだ
人を打ちのめし、傷つけ、絶望を味わせるために
ひたすら拳を振っていた俺と
強く抱き締めれば壊れてしまいそうな身体を張って
周りのいろんな思いが満ちた視線と
日に日に大きくなる不安と
そして……気を緩めればもろく崩れそうな
疲れ切った自分自身と
毎日、闘っていたあいつと出会ったのは
あいつと出会えたから、分かったこともあるんだ
今、ここで生きているという奇跡
仲間に毎日会えるという奇跡
何不自由なく暮らしていけるという奇跡
それと
そんな奇跡に気づかないで
今まで生きてこれたという幸せな奇跡に
だから、
どうか泣かないで
そして
どうか、笑って……
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