この想いに気づくまで
第1章
吸い込まれそうな暗闇の中にその倉庫はあった
倉庫の周りにひっそりと建つ街灯が
ペンキの剥がれかけた小さな倉庫をぼんやりと照らした
「来いよ。まとめて片付けてやる。」
薄暗い小さな倉庫にその言葉は低く響いた
声の主の周りには様々な武器を片手に
数多(あまた)の人が囲むように群がっていた
暗闇の中、異様にギラギラと光る目の集合体を
ぐるりと見回したその男はもう一度呟いた
「二度もいわせるな……」
ゆっくりと吸い込んだ息は埃っぽくて
「……来いよ」
少し湿っていた
獣の思わせるような咆哮(ほうこう)は
明け方まで続いた