この想いに気づくまで
第2章
久しぶりだなあ、この感じ。
一段一段ゆっくり登るたびに鳴る靴の音
教科書がぎっしり入った鞄の重さ
少しくすぐったいワイシャツの襟
窓から差し込む光できらきら光る窓
そして
階段を登り終えた蒼井 咲(あおい えみ)の眼に飛び込んできたのは
たくさんの人でにぎやかな長い廊下だった。
あぁー!やっと学校にこれたんだ!
雨の匂いが香る六月の晴れた日。
咲は二カ月ぶりに学校に登校した。
二か月前は淡いピンクの花でいっぱいだった桜の木は
黄緑色の小さな葉っぱをいっぱいつけていた。