桜色の恋 【短】


だけど、そんな幸せな日々は長くは続かず
終わりを告げる終止符は突然打たれた。



耳を、疑った。


桜色の唇から紡がれるのは
別れを告げる言葉。


ただ呆然と立ち尽くすことしかできない俺に彼女は

「いつかまた逢えるといいね。
それまでこれ、持ってて?」

と言って俺の手に自分の首から外したネックレスを握らせた。


そして背伸びをして俺の乾いた唇に自分の桜色の唇を重ねた。


-―――その瞬間、風が強く巻き上がり
桜が風に乗って飛んでいき
視界が閉ざされた。


風がやんだ時には彼女の姿はもうなく、
残ったのは自分の手の中にある桜のモチーフのネックレスだけだった。


-――――桜の木を見上げると、
花はすべて散っていた。


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