: 過去
***

碧が駆けつけたとき



全てが終わっていた



池田屋の玄関前



怪我人や亡骸と共に、捕らえられた浪士の姿があった




必死に目を凝らすなか、碧はやっとの思いで彼を見つけた



「沖田さん――っ!!」



だが、彼の意識ははっきりしない



「沖田…さん?」



玄関から少し離れた場所で、彼は座っていた



視点の合わない目で、彼は碧に話しかける



「…僕の傍に……来てはいけませんよ」



「えっ…?何言ってるんですか、沖田さん」



苦笑いで誤魔化そうとしたが、どうやら無理らしい



碧の目には涙がたまっていく



「……泣いているのですか?」



そのまま沖田は目を閉じた
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