: 過去
***
「お茶、煎れてきました」


禁門の変からしばらく経った、9月の始め



碧は朝食を終えた広間にお茶を運ぶ


――?


でもなんだか今日は様子が違う



ちゃんと人数分煎れたはずのお茶が余った



碧がキョロキョロと辺りを見回していると…



「どうしましたか、春日さん」



「!?」



笑いを堪えるようにして、沖田が顔を除かせた



「い、いえ!…大したことでは…」



「あ、お茶が余ってますね…。さては気付いていませんか?」



碧がきょとんとしていると、ほら、と沖田は指を指した



「近藤さんと平助は江戸へ下っているんです」


――あ。


そういえば、今朝そんなこと言ってたかも…



自分の話の聞いてなさに、碧はみるみる顔が赤くなった



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