始末屋 妖幻堂
序章
「じゃ、約束の金だよ」
「へぇ、確かに」
上がり框に腰掛けていた老人が、風呂敷に商品らしい荷物を包んで立ち上がった。
荷を背負いながら、ちらりと奥に目をやる。
「今日は、旦那は?」
対応していた女は、薄く笑って鬢を掻いた。
「今日は行商の日で。大方いつもの調子で、姐さんがたに掴まっていなさるんでしょう」
「はは。そりゃ羨ましいこった。旦那も隅に置けねぇな」
けらけら笑う老人は、女にきろりと睨まれて、ほな、と言い捨てると、そそくさと出て行った。
「へぇ、確かに」
上がり框に腰掛けていた老人が、風呂敷に商品らしい荷物を包んで立ち上がった。
荷を背負いながら、ちらりと奥に目をやる。
「今日は、旦那は?」
対応していた女は、薄く笑って鬢を掻いた。
「今日は行商の日で。大方いつもの調子で、姐さんがたに掴まっていなさるんでしょう」
「はは。そりゃ羨ましいこった。旦那も隅に置けねぇな」
けらけら笑う老人は、女にきろりと睨まれて、ほな、と言い捨てると、そそくさと出て行った。
< 1 / 475 >