始末屋 妖幻堂
第九章
「はぁ。店を血で汚しちまった。旦さんに怒られそうだわさ」
狐姫が、脇息にもたれながら、ため息をつく。
そして、ちろりと階段の下に立ちすくんでいる小菊に目をやった。
「突っ立ってないで、こっちに来て座ったらどうだい」
ぞんざいに、己の横を顎で指す。
が、それはすなわち、牙呪丸の傍に行くことだ。
小菊は怯えた目を牙呪丸に向けた。
先程までは狐姫も口元を赤く染めていたし、何より彼女の正体は狐だという。
だが、実際変化(へんげ)した姿を見ていないせいか、狐姫には、さほど恐怖は感じない。
しかし牙呪丸は、大蛇の身体で男を絞め殺しているところを見てしまったのだ。
優美な外見なだけに、より一層不気味さが増す。
躊躇っていると、くい、と袖が引っ張られた。
視線を落とすと、杉成が見上げている。
そのまま杉成は、くいくいと袖を引っ張り、小菊を座敷へと誘う。
相変わらずの無表情。
先は頬や着物に飛び散った返り血に驚いたが、今は怖くない。
何処をどう見ても、杉成は人間だからか。
もっともそれは、あくまで見てくれの話なのだが。
小菊は杉成と共に、座敷に入った。
狐姫が、脇息にもたれながら、ため息をつく。
そして、ちろりと階段の下に立ちすくんでいる小菊に目をやった。
「突っ立ってないで、こっちに来て座ったらどうだい」
ぞんざいに、己の横を顎で指す。
が、それはすなわち、牙呪丸の傍に行くことだ。
小菊は怯えた目を牙呪丸に向けた。
先程までは狐姫も口元を赤く染めていたし、何より彼女の正体は狐だという。
だが、実際変化(へんげ)した姿を見ていないせいか、狐姫には、さほど恐怖は感じない。
しかし牙呪丸は、大蛇の身体で男を絞め殺しているところを見てしまったのだ。
優美な外見なだけに、より一層不気味さが増す。
躊躇っていると、くい、と袖が引っ張られた。
視線を落とすと、杉成が見上げている。
そのまま杉成は、くいくいと袖を引っ張り、小菊を座敷へと誘う。
相変わらずの無表情。
先は頬や着物に飛び散った返り血に驚いたが、今は怖くない。
何処をどう見ても、杉成は人間だからか。
もっともそれは、あくまで見てくれの話なのだが。
小菊は杉成と共に、座敷に入った。