始末屋 妖幻堂
---こいつぁ、目印にゃ打って付けだが・・・・・・---
呆れたように、千之助は樫の木を見上げた。
確かに待ち合わせにはこの上ない目印だ。
だが、如何せん目立ちすぎる。
村外れとはいえ、村人であれば、誰でも知っているだろう。
そんな目立つ場所を、これから駆け落ちしようという者が使うだろうか。
---まるで外からの者への、目印のようじゃねぇか---
やはり、佐吉は元から小菊を売り飛ばすつもりで、ここに呼び出したのだろうか。
何度かこの村に来たことのあるだけの買い手への、取引場所の目印だったのではないか。
じっと樫の木を見上げる千之助の背後で、不意にかさりと落ち葉が鳴った。
振り向くと、冴が立っている。
冴はしばらくじっと千之助を見つめた後、ゆっくりと近づいてきた。
「・・・・・・帰っちまうのかい」
少し手前で立ち止まった冴の口が、小さく動いた。
千之助は懐手をして、息をついた。
呆れたように、千之助は樫の木を見上げた。
確かに待ち合わせにはこの上ない目印だ。
だが、如何せん目立ちすぎる。
村外れとはいえ、村人であれば、誰でも知っているだろう。
そんな目立つ場所を、これから駆け落ちしようという者が使うだろうか。
---まるで外からの者への、目印のようじゃねぇか---
やはり、佐吉は元から小菊を売り飛ばすつもりで、ここに呼び出したのだろうか。
何度かこの村に来たことのあるだけの買い手への、取引場所の目印だったのではないか。
じっと樫の木を見上げる千之助の背後で、不意にかさりと落ち葉が鳴った。
振り向くと、冴が立っている。
冴はしばらくじっと千之助を見つめた後、ゆっくりと近づいてきた。
「・・・・・・帰っちまうのかい」
少し手前で立ち止まった冴の口が、小さく動いた。
千之助は懐手をして、息をついた。