始末屋 妖幻堂
「女子は、あっという間に干涸らびてしまうし、屈強な男はそれなりに体力はあるけど情緒がないし。男はどうしたって欲望が先立って突っ走ってしまうからねぇ。美味しくもない男にあんまりまとわりつかれても困るから、都度『気』と一緒に記憶が曖昧になるようにしないといけないし」
面倒なんだよね、と言う里に、千之助は合点がいった。
里が、家の下男・下女を食っていたのだ。
「そういうことかい。あんたは、ヒトの精気を喰らうのかい?」
病になって暇を出された者はいても、里の家で死んだ者はいない。
直接肉体を喰らうわけではなく、内部から侵されていったのだろう。
「そうね。私はヒトを惑わし喰らうのが、何より好きだからね」
---やはりな・・・・・・---
千之助は、腰の巾着をそっと押さえた。
先程の岩山の上の祠から持ってきた小さな剣。
あの像は、羅刹天だ。
だが像は『空(から)』だった。
宿っていたモノが、抜け出していたのだ。
面倒なんだよね、と言う里に、千之助は合点がいった。
里が、家の下男・下女を食っていたのだ。
「そういうことかい。あんたは、ヒトの精気を喰らうのかい?」
病になって暇を出された者はいても、里の家で死んだ者はいない。
直接肉体を喰らうわけではなく、内部から侵されていったのだろう。
「そうね。私はヒトを惑わし喰らうのが、何より好きだからね」
---やはりな・・・・・・---
千之助は、腰の巾着をそっと押さえた。
先程の岩山の上の祠から持ってきた小さな剣。
あの像は、羅刹天だ。
だが像は『空(から)』だった。
宿っていたモノが、抜け出していたのだ。