始末屋 妖幻堂
「家の女中らがどんどん辞めていったのぁ、お前さんの仕業かい」

「どうしたって、弱っていくのは止められないもの。食われてるんだから。男はねぇ、私を知ったら、弱っていくのを承知でも、欲望を止められないのさ。だから、最後は枯れ木のようになって、暇を出される。その頃には、傍目にももう働けるようには見えないもの」

 記憶もめちゃくちゃだし、と言いつつ、くすくすと里は面白そうに笑う。

 そういや実家に帰された娘の一人は、何かに怯えていたと言っていた。
 女子は快楽なく、恐怖のみを味わうハメになったということだろうか。

「女子もね、一応楽しませてあげるんですよ。でもやっぱり男みたいに夢中にはならないから、食われる感じに気づくのかな。そういう訳のわからない恐怖に耐えられなくなって、おかしくなる子が多かったね」

 なまじ鋭いだけに、女子は可哀相だよねぇ、と言いながら、里は千之助に抱きついた。
 千之助の胸元をべろりと舐め、里は凄艶な笑みを湛えて彼を見上げた。
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