始末屋 妖幻堂
第一章
「失礼しちゃうよねぇ、全く」
息をつき、女が腰を上げたとき、店の暖簾が跳ね上がり、一人の少年が転がり込んできた。
「たっ太夫(たゆう)っ!」
少年は女に泣きそうな顔を向ける。
女の視線が、あからさまに険しくなって、少年の後ろに突き刺さった。
「小太(こた)、何だえ、それは」
太夫と呼ばれた女は、上がり框から少年---小太の後ろで小さくなっている少女を睨み付けた。
小太は太夫の視線にたじろぎながらも、少女を引っ張って奥に入れようとする。
「太夫、とにかくこの子を、奥に通しておくれよ。見つかったらヤバイんだ」
「・・・・・・まぁた、そんな厄介なモノを拾ってきて。旦(だん)さんに、何て言うんだい」
「だ、旦那には・・・・・・内緒にできないかな。おいら、怒られちまう」
「旦さんに内緒だなんて、内緒でそんなモノ匿ってどうするってんだい。あんた一人で解決できるような仕事なのかい?」
「それはその・・・・・・」
上がり框の辺りで小太と言い合っていた太夫が、不意に、はっとしたように顔を上げた。
「旦さんが帰ってくる」
息をつき、女が腰を上げたとき、店の暖簾が跳ね上がり、一人の少年が転がり込んできた。
「たっ太夫(たゆう)っ!」
少年は女に泣きそうな顔を向ける。
女の視線が、あからさまに険しくなって、少年の後ろに突き刺さった。
「小太(こた)、何だえ、それは」
太夫と呼ばれた女は、上がり框から少年---小太の後ろで小さくなっている少女を睨み付けた。
小太は太夫の視線にたじろぎながらも、少女を引っ張って奥に入れようとする。
「太夫、とにかくこの子を、奥に通しておくれよ。見つかったらヤバイんだ」
「・・・・・・まぁた、そんな厄介なモノを拾ってきて。旦(だん)さんに、何て言うんだい」
「だ、旦那には・・・・・・内緒にできないかな。おいら、怒られちまう」
「旦さんに内緒だなんて、内緒でそんなモノ匿ってどうするってんだい。あんた一人で解決できるような仕事なのかい?」
「それはその・・・・・・」
上がり框の辺りで小太と言い合っていた太夫が、不意に、はっとしたように顔を上げた。
「旦さんが帰ってくる」