始末屋 妖幻堂
小菊はちゃんと狐姫の姿がないことを確かめて、千之助に頼んだのだが、そもそもヒトでないモノが集まる妖幻堂だ。
その場にいないからといって、留守とは限らない。
小菊が千之助に身を投げ出した時点で、狐姫はこの堀川菓子処に駆け去ったのだ。
「旦那も男だ。元々ヒトだしの。我にはよぅわからんが、ヒトの男というものは、金を出してまでも、女子を抱きたがるものじゃしの」
「何わかったような口利いてんだよっ」
「わからんと言ったであろうが。したが、あの廓とかいうところは、そういうところなのじゃろ。旦那の店の近くの界隈が、まさにそういうところなのであろうが。旦那のところに出入りしておれば、ヒトの男というものが、自(おの)ずとわかるわ」
「旦さんまで一緒の目で見ないどくれっ」
まぁまぁ、と、呶々女が狐姫の前に、天かすたっぷりのお湯の入った茶碗を置いた。
「・・・・・・何だい、これは」
「だってうちには、油揚げないもの。これは、ほんとは固めて砂糖で絡めるんだけどさ、ま、とりあえずこれでも食べて、気分落ち着けておくんなさいな」
その場にいないからといって、留守とは限らない。
小菊が千之助に身を投げ出した時点で、狐姫はこの堀川菓子処に駆け去ったのだ。
「旦那も男だ。元々ヒトだしの。我にはよぅわからんが、ヒトの男というものは、金を出してまでも、女子を抱きたがるものじゃしの」
「何わかったような口利いてんだよっ」
「わからんと言ったであろうが。したが、あの廓とかいうところは、そういうところなのじゃろ。旦那の店の近くの界隈が、まさにそういうところなのであろうが。旦那のところに出入りしておれば、ヒトの男というものが、自(おの)ずとわかるわ」
「旦さんまで一緒の目で見ないどくれっ」
まぁまぁ、と、呶々女が狐姫の前に、天かすたっぷりのお湯の入った茶碗を置いた。
「・・・・・・何だい、これは」
「だってうちには、油揚げないもの。これは、ほんとは固めて砂糖で絡めるんだけどさ、ま、とりあえずこれでも食べて、気分落ち着けておくんなさいな」