始末屋 妖幻堂
第四章
「ふ~む、早速かい」
夕餉の膳を前に、千之助は顎を撫でながら呟いた。
「なかなか敵さんも、侮れねぇな。もう小菊の居場所を掴んでやがる」
「掴んでたわけじゃねぇわさ。たまたま見っけただけだよ。手柄を独り占めしようとしてたもの。小者さね。頭ん中、引っ掻き回してやったから、今日のことなんざ、忘れちまってるだろうさ」
ぺろりと舌なめずりをし、狐姫が言う。
千之助が、傍らの匕首に目をやった。
「血の臭いがすんな」
「入れ墨者の匕首だもの。お綺麗なモンじゃないだろ」
「違いねぇ。けど、俺が言ってんのぁこれじゃねぇよ」
言いながら、千之助は顎で玄関口を指す。
狐姫が、口を尖らせた。
「殺してないよ。脳みそは多少潰れたかもしれないけど」
恐ろしいことを言う。
だが千之助は特に気にすることなく、部屋の隅の杉成に目を向けた。
「ちゃんと働いたようだな。弓は痛んじゃいねぇか?」
千之助の言葉に、杉成はどこからか、小さな弓を取り出した。
黙って千之助に差し出す。
千之助は弓を受け取り、隅々まで点検した後、びぃんと一つ、弓を弾いた。
夕餉の膳を前に、千之助は顎を撫でながら呟いた。
「なかなか敵さんも、侮れねぇな。もう小菊の居場所を掴んでやがる」
「掴んでたわけじゃねぇわさ。たまたま見っけただけだよ。手柄を独り占めしようとしてたもの。小者さね。頭ん中、引っ掻き回してやったから、今日のことなんざ、忘れちまってるだろうさ」
ぺろりと舌なめずりをし、狐姫が言う。
千之助が、傍らの匕首に目をやった。
「血の臭いがすんな」
「入れ墨者の匕首だもの。お綺麗なモンじゃないだろ」
「違いねぇ。けど、俺が言ってんのぁこれじゃねぇよ」
言いながら、千之助は顎で玄関口を指す。
狐姫が、口を尖らせた。
「殺してないよ。脳みそは多少潰れたかもしれないけど」
恐ろしいことを言う。
だが千之助は特に気にすることなく、部屋の隅の杉成に目を向けた。
「ちゃんと働いたようだな。弓は痛んじゃいねぇか?」
千之助の言葉に、杉成はどこからか、小さな弓を取り出した。
黙って千之助に差し出す。
千之助は弓を受け取り、隅々まで点検した後、びぃんと一つ、弓を弾いた。