始末屋 妖幻堂
「・・・・・・清、すまねぇ」
少し和んだ空気に勇気を得たように、佐吉が頭を下げた。
「お前が廓に売られたのぁ、俺のせいだ」
少し勢いをつけて頭を下げたため、ちょっと佐吉の顔が歪んだ。
頭を下げた拍子に、背中の傷が引き攣れたのだろう。
小菊は思わず腰を上げて、佐吉に駆け寄った。
が、やはり触れるのを躊躇ってしまう。
「それは誤解だって、旦那様に聞きました。佐吉さんは、あたしと逃げるつもりだったって」
「けど、俺があんなところにお前を呼び出さなければ、お前は廓なんぞに行かされることはなかった。俺がどういうつもりだったかなんてことより、結果のほうが大事だろ。俺の勝手な考えで、お前がこんな目に遭ったのは、紛れもない事実だ」
「でも佐吉さん、二年間、ずっと捜してくれたんでしょ」
口にした瞬間、小菊の目から涙がこぼれた。
言葉にして初めて、佐吉への想いが新たになる。
「ありがとう、佐吉さん」
泣きながら、それでも笑いかける小菊の肩を、佐吉は掴んだ。
そのまま引き寄せ、抱きしめる。
「清、俺は、散々遊んだ上に、親兄弟まで博徒に殺されたような奴だ。礼を言われるようなことは、してねぇよ」
「・・・・・・」
小菊は佐吉の腕の中で、身体を強張らせていた。
「俺は、村に帰る気はねぇが、京に留まるともわからねぇ。元々お前とどっかで暮らそうと思ってたんだ。ついてきてくれるかい」
少し身体を離して言う佐吉を、小菊は、じっと見た。
その目に躊躇いの色を読み取り、佐吉の表情が曇る。
少し和んだ空気に勇気を得たように、佐吉が頭を下げた。
「お前が廓に売られたのぁ、俺のせいだ」
少し勢いをつけて頭を下げたため、ちょっと佐吉の顔が歪んだ。
頭を下げた拍子に、背中の傷が引き攣れたのだろう。
小菊は思わず腰を上げて、佐吉に駆け寄った。
が、やはり触れるのを躊躇ってしまう。
「それは誤解だって、旦那様に聞きました。佐吉さんは、あたしと逃げるつもりだったって」
「けど、俺があんなところにお前を呼び出さなければ、お前は廓なんぞに行かされることはなかった。俺がどういうつもりだったかなんてことより、結果のほうが大事だろ。俺の勝手な考えで、お前がこんな目に遭ったのは、紛れもない事実だ」
「でも佐吉さん、二年間、ずっと捜してくれたんでしょ」
口にした瞬間、小菊の目から涙がこぼれた。
言葉にして初めて、佐吉への想いが新たになる。
「ありがとう、佐吉さん」
泣きながら、それでも笑いかける小菊の肩を、佐吉は掴んだ。
そのまま引き寄せ、抱きしめる。
「清、俺は、散々遊んだ上に、親兄弟まで博徒に殺されたような奴だ。礼を言われるようなことは、してねぇよ」
「・・・・・・」
小菊は佐吉の腕の中で、身体を強張らせていた。
「俺は、村に帰る気はねぇが、京に留まるともわからねぇ。元々お前とどっかで暮らそうと思ってたんだ。ついてきてくれるかい」
少し身体を離して言う佐吉を、小菊は、じっと見た。
その目に躊躇いの色を読み取り、佐吉の表情が曇る。