始末屋 妖幻堂
第三十章
「おぅ小太。真面目に手伝いしてるじゃねぇか」
千之助の声に、忙しく店の中を走り回っていた小太は手を止めた。
「旦那っ」
持っていた大根を手早く並べ、小太は千之助の傍に駆け寄ってきた。
「おまぃさん、もう傷はすっかり良いのかい」
「うん。もう全然」
酷い痣があった腕をまくって見せる。
もうほとんど傷は消えかかっている。
「そろそろまた、旦那のところに行こうと思ってたんだ。な、小菊の様子はどうだい?」
急いで商品を並べる小太に、千之助は苦笑いをした。
今姿は現していないが、千之助の肩の上では、狐姫も苦笑いをしていることだろう。
「ん~、まぁ、それはともかくだ。とりあえず、手伝いは終えちまいな。俺っちは女将さんに、入り用な物聞いてくるからよ」
言いつつ、千之助は奥に座る番頭に声をかけた。
番頭が手代を呼び、千之助を奥へと案内する。
しばらく奥で女将相手に仕事をし、再び出てくると、小太が待っていた。
「休憩くれた。旦那は今から、どっか行くんかい?」
「ああ。清水のほうへ、買い物にな。お前にも用事があるし、一緒に来な」
すぐにでも妖幻堂に行きたそうな小太を連れ、千之助は歩き出す。
清水は、今も昔も変わらぬ賑わいだ。
立ち並ぶ露天を冷やかしつつ、千之助は坂道を歩いていった。
千之助の声に、忙しく店の中を走り回っていた小太は手を止めた。
「旦那っ」
持っていた大根を手早く並べ、小太は千之助の傍に駆け寄ってきた。
「おまぃさん、もう傷はすっかり良いのかい」
「うん。もう全然」
酷い痣があった腕をまくって見せる。
もうほとんど傷は消えかかっている。
「そろそろまた、旦那のところに行こうと思ってたんだ。な、小菊の様子はどうだい?」
急いで商品を並べる小太に、千之助は苦笑いをした。
今姿は現していないが、千之助の肩の上では、狐姫も苦笑いをしていることだろう。
「ん~、まぁ、それはともかくだ。とりあえず、手伝いは終えちまいな。俺っちは女将さんに、入り用な物聞いてくるからよ」
言いつつ、千之助は奥に座る番頭に声をかけた。
番頭が手代を呼び、千之助を奥へと案内する。
しばらく奥で女将相手に仕事をし、再び出てくると、小太が待っていた。
「休憩くれた。旦那は今から、どっか行くんかい?」
「ああ。清水のほうへ、買い物にな。お前にも用事があるし、一緒に来な」
すぐにでも妖幻堂に行きたそうな小太を連れ、千之助は歩き出す。
清水は、今も昔も変わらぬ賑わいだ。
立ち並ぶ露天を冷やかしつつ、千之助は坂道を歩いていった。