始末屋 妖幻堂
終章
「おぅ呶々女。どうだい、最近。そろそろ葛切りの季節だな」
菓子処の暖簾を跳ね上げて、行李を背負った千之助が顔を覗かせた。
餡を練っていた呶々女が、手を止めて顔を上げる。
「おんや千さん。久方ぶりだね。怪我はもう、いいんかい?」
「おぅ。すっかりよ」
店先に、どさ、と荷物を下ろし、千之助は腰を下ろしつつ、抱えた包みをぽんと叩く。
「鴨社の団子だぜ。差し入れさね」
「嬉しいね。牙呪丸!」
奥に向かって呶々女が声をかけると、するすると牙呪丸が姿を現す。
その手には、出来たてと思われる羊羹が、一本丸々握られている。
「お前さんにも世話んなったからなぁ。ほれ、たんと買ってきたから、遠慮無く食いな」
「ほ。こりゃ有名なみたらしではないか。よぅもまぁ、こんなに買えたもんだの」
ぱくりと持っていた羊羹一本を口に放り込み、牙呪丸は千之助の横に座る。
呶々女が茶を淹れて、二人の少し後ろに置いた。
菓子処の暖簾を跳ね上げて、行李を背負った千之助が顔を覗かせた。
餡を練っていた呶々女が、手を止めて顔を上げる。
「おんや千さん。久方ぶりだね。怪我はもう、いいんかい?」
「おぅ。すっかりよ」
店先に、どさ、と荷物を下ろし、千之助は腰を下ろしつつ、抱えた包みをぽんと叩く。
「鴨社の団子だぜ。差し入れさね」
「嬉しいね。牙呪丸!」
奥に向かって呶々女が声をかけると、するすると牙呪丸が姿を現す。
その手には、出来たてと思われる羊羹が、一本丸々握られている。
「お前さんにも世話んなったからなぁ。ほれ、たんと買ってきたから、遠慮無く食いな」
「ほ。こりゃ有名なみたらしではないか。よぅもまぁ、こんなに買えたもんだの」
ぱくりと持っていた羊羹一本を口に放り込み、牙呪丸は千之助の横に座る。
呶々女が茶を淹れて、二人の少し後ろに置いた。