始末屋 妖幻堂
「ときに村長。立派なお屋敷のわりに、お女中が少のぅございますな」
千之助は、妙に思ったことを口にした。
「ああ、でも村長といいましても、これ、この通り、所詮は鄙里ですから。屋敷だけは広いですが、それとて土地があるだけのことですし。身の回りのことは、家族で十分賄えますよ。紹介が遅れましたな。私はこの尾鳴村の長、太一郎と申します。これは妻の里。それが娘の冴でございます」
「京・妖幻堂が主、千之助と申します。難儀なところをお助けいただき、有り難うございます」
千之助も、ぺこりと頭を下げる。
「さぁ千さん。もっとおやりよ。ここの酒は、山からの清水を使ってるから美味いんだよ」
冴が、千之助に身体を擦りつけながら酌をする。
先程の湯の後で着替えた冴は、千之助と同じような浴衣一枚だ。
薄い衣を通して、豊かな胸が千之助の二の腕をぐいぐいと押す。
---よっぽど飢えてんのか、ただの好き者か。ま、山間の村にゃ珍しいこっちゃねぇがな---
素知らぬふりで、杯を重ねる千之助は、ついと長の横に控える女子を見た。
千之助は、妙に思ったことを口にした。
「ああ、でも村長といいましても、これ、この通り、所詮は鄙里ですから。屋敷だけは広いですが、それとて土地があるだけのことですし。身の回りのことは、家族で十分賄えますよ。紹介が遅れましたな。私はこの尾鳴村の長、太一郎と申します。これは妻の里。それが娘の冴でございます」
「京・妖幻堂が主、千之助と申します。難儀なところをお助けいただき、有り難うございます」
千之助も、ぺこりと頭を下げる。
「さぁ千さん。もっとおやりよ。ここの酒は、山からの清水を使ってるから美味いんだよ」
冴が、千之助に身体を擦りつけながら酌をする。
先程の湯の後で着替えた冴は、千之助と同じような浴衣一枚だ。
薄い衣を通して、豊かな胸が千之助の二の腕をぐいぐいと押す。
---よっぽど飢えてんのか、ただの好き者か。ま、山間の村にゃ珍しいこっちゃねぇがな---
素知らぬふりで、杯を重ねる千之助は、ついと長の横に控える女子を見た。