始末屋 妖幻堂
日のあるうちは、村の中をくまなく歩き回り、何となく地理を掴んだ千之助は、夕刻に再び温泉に入った後、夕餉をいただき、屋敷に一室を与えられた。
「よいしょっと」
夜が更けてから、千之助は先程から何やらしたためていた紙を置き、行灯の灯を引き寄せた。
束の間じっと灯を見つめ、しばらくしてから、ぱちんと指を鳴らす。
不意に行灯の灯が青くなった。
そこに文机の上の紙を翳すと、ちり、と紙が焼けると同時に、書いてあった文字が炎の表面に映し出された。
「よし。頼んだぜ」
もう一度指を鳴らすと、灯は元のように赤くなり、先の字も消える。
不思議なことに、紙の燃えかすもない。
「さて。じゃあ、形だけでも寝るか」
一つ伸びをし、千之助は行灯の灯を吹き消した。
ごそごそと布団に潜り込んで、目を閉じる。
「よいしょっと」
夜が更けてから、千之助は先程から何やらしたためていた紙を置き、行灯の灯を引き寄せた。
束の間じっと灯を見つめ、しばらくしてから、ぱちんと指を鳴らす。
不意に行灯の灯が青くなった。
そこに文机の上の紙を翳すと、ちり、と紙が焼けると同時に、書いてあった文字が炎の表面に映し出された。
「よし。頼んだぜ」
もう一度指を鳴らすと、灯は元のように赤くなり、先の字も消える。
不思議なことに、紙の燃えかすもない。
「さて。じゃあ、形だけでも寝るか」
一つ伸びをし、千之助は行灯の灯を吹き消した。
ごそごそと布団に潜り込んで、目を閉じる。