始末屋 妖幻堂
第七章
がたんという物音に、小菊はびくっと顔を上げた。
弾みで持っていた芋が転がる。
「・・・・・・ん~?」
部屋で脇息にもたれかかっていた狐姫が、物憂げに視線を上にやる。
音は二階から聞こえた。
今、小菊は夕餉の支度を、杉成は店で接客をしている。
狐姫は目の前にいるし、とらは再び出て行って、まだ帰ってきていない。
二階には誰もいないはずである。
「な、何でしょう」
怯えた表情で包丁を握る小菊だったが、狐姫は少し首を傾げただけだった。
やがて何かが滑るような音がし、階段の途中でぴたりと止まる。
階段は店に入った正面だ。
奥にいる小菊からは、まだ階段を下りてくるモノの姿は見えない。
店にいた杉成が、ひょいと顔を上げ、次いで、ざっと周りを見渡した。
そしてもう一度階段に向き直り、一つこくんと頷く。
すると、階段途中にいたモノは、再び動き出したようだ。
階段を下りるにしては不自然な、やはり滑るような音が続く。
「おや。えらく早いねぇ。よっぽど呶々女が恋しいと見える」
階段下に姿を現した青年に、狐姫がからかうように言った。
その後ろで、小菊は息を呑んだ。
下りてきたのは、見たこともないような美男子だったのだ。
弾みで持っていた芋が転がる。
「・・・・・・ん~?」
部屋で脇息にもたれかかっていた狐姫が、物憂げに視線を上にやる。
音は二階から聞こえた。
今、小菊は夕餉の支度を、杉成は店で接客をしている。
狐姫は目の前にいるし、とらは再び出て行って、まだ帰ってきていない。
二階には誰もいないはずである。
「な、何でしょう」
怯えた表情で包丁を握る小菊だったが、狐姫は少し首を傾げただけだった。
やがて何かが滑るような音がし、階段の途中でぴたりと止まる。
階段は店に入った正面だ。
奥にいる小菊からは、まだ階段を下りてくるモノの姿は見えない。
店にいた杉成が、ひょいと顔を上げ、次いで、ざっと周りを見渡した。
そしてもう一度階段に向き直り、一つこくんと頷く。
すると、階段途中にいたモノは、再び動き出したようだ。
階段を下りるにしては不自然な、やはり滑るような音が続く。
「おや。えらく早いねぇ。よっぽど呶々女が恋しいと見える」
階段下に姿を現した青年に、狐姫がからかうように言った。
その後ろで、小菊は息を呑んだ。
下りてきたのは、見たこともないような美男子だったのだ。