執着王子と聖なる姫
「付き合ってるんじゃ…なかったんだ」
「ん?付き合ってねーよ」
「あちゃー。それ、王子には言わない方がいいよ?」
「ハルさん知ってると思うけど?」
な?と問うと、コクリと頷くセナ。疚しいことは何も無く…はないけれど、宣言した通り「それ以上」に事は進んではいない。俺達の中で確実な変化はあれど、周りにはわからないはずだと思っていた。
「王子も寛大になったもんだねー」
「何か違うか?俺ら」
「俺から見れば違うから、きっと王子から見ても違うと思うよ?まぁ、他はあんなだから知らないけどね」
クイッと顎で指す先には、のんびりとコーヒーを飲むケイさんの姿がある。俺達の視線に気付き大きく手を振り、嬉しそうに近付いて来た。
いつからそこに居たのかは知らないけれど、来ているのを知っていたならば声くらい掛けてほしかった。そう思ってもバチは当たらないだろう。
「よぉ」
「いつから居たんですか?」
「んー…結構前からおったで」
「声掛けてくださいよ、居たなら」
「いやー、何や熱心に話しとるから悪いなぁ思うて」
いつもながらに「はははー」と陽気に笑い、小脇に抱えていたファイルを差し出すケイさん。促されてそれを開くと、何枚かのデザイン画が出て来た。
「セナに着せるから、手ぇ入れてくれへん?気に入らんかったら、一からやり直してくれてもええし」
「俺が…ですか?」
「自分の女は自分で着飾りたいやろ?」
「何だ。ケイ坊にもバレてるじゃないか」
軽く笑う父に、ゆるゆると首を振る。
そこは深く掘り下げないでほしい。いや、頼むから掘り下げてくれるな、と。
「ん?付き合ってねーよ」
「あちゃー。それ、王子には言わない方がいいよ?」
「ハルさん知ってると思うけど?」
な?と問うと、コクリと頷くセナ。疚しいことは何も無く…はないけれど、宣言した通り「それ以上」に事は進んではいない。俺達の中で確実な変化はあれど、周りにはわからないはずだと思っていた。
「王子も寛大になったもんだねー」
「何か違うか?俺ら」
「俺から見れば違うから、きっと王子から見ても違うと思うよ?まぁ、他はあんなだから知らないけどね」
クイッと顎で指す先には、のんびりとコーヒーを飲むケイさんの姿がある。俺達の視線に気付き大きく手を振り、嬉しそうに近付いて来た。
いつからそこに居たのかは知らないけれど、来ているのを知っていたならば声くらい掛けてほしかった。そう思ってもバチは当たらないだろう。
「よぉ」
「いつから居たんですか?」
「んー…結構前からおったで」
「声掛けてくださいよ、居たなら」
「いやー、何や熱心に話しとるから悪いなぁ思うて」
いつもながらに「はははー」と陽気に笑い、小脇に抱えていたファイルを差し出すケイさん。促されてそれを開くと、何枚かのデザイン画が出て来た。
「セナに着せるから、手ぇ入れてくれへん?気に入らんかったら、一からやり直してくれてもええし」
「俺が…ですか?」
「自分の女は自分で着飾りたいやろ?」
「何だ。ケイ坊にもバレてるじゃないか」
軽く笑う父に、ゆるゆると首を振る。
そこは深く掘り下げないでほしい。いや、頼むから掘り下げてくれるな、と。