執着王子と聖なる姫
「お前の中のセナのイメージって、こんな暗いか?」
「そんなことないですよ?」
「ほんならええんやけど…嫁さんがあれなもんやからさぁ」
「あぁ…ちーちゃんは、明るいイメージがありますね」
「俺はあんな風に育てたかったんやけど…どこをどう間違ったらあんなんなったんやろかなぁ」
要は、暗いイメージが付くのが嫌ということだろうか。いまいちわからないで悩んでいると、ケイさんは笑い声を洩らした。
「晴人はいかにも純粋です!って感じのが好きやからなぁ。根っからのロリコンや」
「あー、ハイハイ。もうええっちゅーねん。お前は何年それを言い続ける気や」
「ちーちゃん見たら誰だってそう思うで?なぁ、愛斗」
「いや、それは…」
口篭る俺に、「遠慮すんなってー」と笑うケイさん。
たとえそう思っていたとて、本人を前にしてそんなことを言えるはずがない。いくらあの女の息子と言えど、そこまで無遠慮には育っていないつもりだ。
「て言うか、お前にはちーちゃんおるんやから、セナは愛斗の好きにさしたったええやん」
「それで一層暗い子になったらどないすんねん」
「それはそれでええやん。愛斗色なんやから。なぁ?」
「いや…暗くはならないと思いますけど…気になるなら、色変えますよ?」
「セナは、はるよりマナを選びます」
父の手によって巻き髪にされたセナがちょこちょこと寄って来ると、ハルさんのため息が更に大きくなった。
「セナはこっちの色の方が好きです」
「いや、お前が好きなんはその色やなくて愛斗やろ?」
「それじゃダメですか?マナがこの色を選んだということは、この色がセナに似合う色なんです」
「諦めなって、王子。セナちゃん、誰に似たのかかなりの頑固者だよ」
「ちぃやろ。要らんとこばっか似るんやなぁ、子供って」
ガックリと肩を落とすハルさんには、もうさっきの「タラシ」の面影は微塵も無い。ただの子育てに悩む父親だ。
「マナはそれでも良いと言ってくれるので、やっぱりセナはマナを選びます」
「いや、俺そんなこと言ってねーよ?」
「マナ、空気を読んでください」
お前が言うな!と、ペンッと指先で額を弾く。大袈裟に痛がったセナが、負けじと俺の頬を突いた。
「素直じゃありませんね。セナのことが好きなくせに」
「はぃ?どうした。どっか打ったか?」
「打ってません!」
エヘンと胸を張るセナは、やたらと得意げで。これは何か吹き込まれたな…と、相変わらず読めない表情でにこやかに腕組みをしている父をじとりと睨み付けた。
「そんなことないですよ?」
「ほんならええんやけど…嫁さんがあれなもんやからさぁ」
「あぁ…ちーちゃんは、明るいイメージがありますね」
「俺はあんな風に育てたかったんやけど…どこをどう間違ったらあんなんなったんやろかなぁ」
要は、暗いイメージが付くのが嫌ということだろうか。いまいちわからないで悩んでいると、ケイさんは笑い声を洩らした。
「晴人はいかにも純粋です!って感じのが好きやからなぁ。根っからのロリコンや」
「あー、ハイハイ。もうええっちゅーねん。お前は何年それを言い続ける気や」
「ちーちゃん見たら誰だってそう思うで?なぁ、愛斗」
「いや、それは…」
口篭る俺に、「遠慮すんなってー」と笑うケイさん。
たとえそう思っていたとて、本人を前にしてそんなことを言えるはずがない。いくらあの女の息子と言えど、そこまで無遠慮には育っていないつもりだ。
「て言うか、お前にはちーちゃんおるんやから、セナは愛斗の好きにさしたったええやん」
「それで一層暗い子になったらどないすんねん」
「それはそれでええやん。愛斗色なんやから。なぁ?」
「いや…暗くはならないと思いますけど…気になるなら、色変えますよ?」
「セナは、はるよりマナを選びます」
父の手によって巻き髪にされたセナがちょこちょこと寄って来ると、ハルさんのため息が更に大きくなった。
「セナはこっちの色の方が好きです」
「いや、お前が好きなんはその色やなくて愛斗やろ?」
「それじゃダメですか?マナがこの色を選んだということは、この色がセナに似合う色なんです」
「諦めなって、王子。セナちゃん、誰に似たのかかなりの頑固者だよ」
「ちぃやろ。要らんとこばっか似るんやなぁ、子供って」
ガックリと肩を落とすハルさんには、もうさっきの「タラシ」の面影は微塵も無い。ただの子育てに悩む父親だ。
「マナはそれでも良いと言ってくれるので、やっぱりセナはマナを選びます」
「いや、俺そんなこと言ってねーよ?」
「マナ、空気を読んでください」
お前が言うな!と、ペンッと指先で額を弾く。大袈裟に痛がったセナが、負けじと俺の頬を突いた。
「素直じゃありませんね。セナのことが好きなくせに」
「はぃ?どうした。どっか打ったか?」
「打ってません!」
エヘンと胸を張るセナは、やたらと得意げで。これは何か吹き込まれたな…と、相変わらず読めない表情でにこやかに腕組みをしている父をじとりと睨み付けた。