執着王子と聖なる姫
着替えてベンチに並び、並べられた朝食に二人で目を輝かせる。
今日は大当りだ!と、口には出さないけれど、二人共がそう思っていた。
「メーシー、食べてもいいですか?」
「はい、どうぞ」
「いただきます!」
美味しそうな料理を前に堪え切れなくなったのは、母譲りの食いしん坊の聖奈。それを横目で見ながらふっと笑い、愛斗も「いただきます」と手を合わせた。
「また今日から学生だね」
「あ?うん」
向かいに腰掛けてコーヒーを飲むメーシーに不意にそう言われ、サラダをむしゃむしゃと咀嚼しながら愛斗は頷く。
既に入学式は済ませているのだけれど、土日を挟んだために学校は今日から本格的なスタートだ。ちょうど聖奈の通っている高校も今日から新学年がスタートするので、聖奈は制服姿で懸命に苦手な野菜と戦っていた。
「セナちゃん、無理しなくていいよ?」
「ダメだ。ちゃんと食え」
甘いメーシーと少々手厳しい愛斗。
二人を交互に見ながら聖奈が頷いたのは、やはり恋人である愛斗の言葉だった。
「よし。イイコだ」
涙目になりながらもサラダを食べ切ろうと頑張る聖奈の頭を撫で、愛斗は甘い言葉を掛けたメーシーに抗議する。
「甘やかすな」
「マナは厳し過ぎるんだよ」
「そうやって甘やかしてマリーみたいになったらどう責任取ってくれんだよ」
「あれはあれで可愛いじゃないか」
「言ってろ、マリー馬鹿。俺はゴメンだね」
母を嫌っているわけではないのだけれど、妻にするとなればまた話は違ってくる。曖昧な返事を続けているけれど聖奈と結婚する気でいる愛斗は、自分好みの女に仕立てようと躾に熱心だった。
「いいの?セナちゃん。こんな怖い男で」
「マナは怖くないですよ?」
「わかってないか。あはは」
勿論愛斗のそんな考えをお見通しなメーシーは、こうして再三聖奈に問い掛けてみるのだけれど、結果はいつも同じ。鈍感と言うよりも盲目的な聖奈は、いつでも愛斗の言いなりだった。
「どんな子供が生まれるか恐ろしいよ」
「ちーちゃんみたいな女の子だよ」
「それもそれで、また王子とケイ坊が大騒ぎするんだろなー」
まだ少し遠い日を思い描き、メーシーはふぅっと息を吐いてコーヒーカップを傾けた。
今日は大当りだ!と、口には出さないけれど、二人共がそう思っていた。
「メーシー、食べてもいいですか?」
「はい、どうぞ」
「いただきます!」
美味しそうな料理を前に堪え切れなくなったのは、母譲りの食いしん坊の聖奈。それを横目で見ながらふっと笑い、愛斗も「いただきます」と手を合わせた。
「また今日から学生だね」
「あ?うん」
向かいに腰掛けてコーヒーを飲むメーシーに不意にそう言われ、サラダをむしゃむしゃと咀嚼しながら愛斗は頷く。
既に入学式は済ませているのだけれど、土日を挟んだために学校は今日から本格的なスタートだ。ちょうど聖奈の通っている高校も今日から新学年がスタートするので、聖奈は制服姿で懸命に苦手な野菜と戦っていた。
「セナちゃん、無理しなくていいよ?」
「ダメだ。ちゃんと食え」
甘いメーシーと少々手厳しい愛斗。
二人を交互に見ながら聖奈が頷いたのは、やはり恋人である愛斗の言葉だった。
「よし。イイコだ」
涙目になりながらもサラダを食べ切ろうと頑張る聖奈の頭を撫で、愛斗は甘い言葉を掛けたメーシーに抗議する。
「甘やかすな」
「マナは厳し過ぎるんだよ」
「そうやって甘やかしてマリーみたいになったらどう責任取ってくれんだよ」
「あれはあれで可愛いじゃないか」
「言ってろ、マリー馬鹿。俺はゴメンだね」
母を嫌っているわけではないのだけれど、妻にするとなればまた話は違ってくる。曖昧な返事を続けているけれど聖奈と結婚する気でいる愛斗は、自分好みの女に仕立てようと躾に熱心だった。
「いいの?セナちゃん。こんな怖い男で」
「マナは怖くないですよ?」
「わかってないか。あはは」
勿論愛斗のそんな考えをお見通しなメーシーは、こうして再三聖奈に問い掛けてみるのだけれど、結果はいつも同じ。鈍感と言うよりも盲目的な聖奈は、いつでも愛斗の言いなりだった。
「どんな子供が生まれるか恐ろしいよ」
「ちーちゃんみたいな女の子だよ」
「それもそれで、また王子とケイ坊が大騒ぎするんだろなー」
まだ少し遠い日を思い描き、メーシーはふぅっと息を吐いてコーヒーカップを傾けた。