執着王子と聖なる姫
「お前、俺に気がある?先に言っとくけど、俺steadyいるからな」

嬉しそうに隣に並んだレベッカに冷たくそう告げると、「wow!」とレベッカはわざとらしく驚いて見せた。

「いつから気付いてたデスカー?」
「さぁな」

いくら言い寄られても、愛斗は決して聖奈の存在を隠すことはしない。それが聖奈への誠意だと思っていたし、両親と愉快な仲間達からもそう釘を刺されてていた。

「やっぱりcleverだ。よろしく!マナ」

差し出された右手を握り、愛斗はジッとレベッカの瞳を見つめた。

左側だけ不自然に被せられた前髪の奥をよくよく見ると、褐色の瞳が見える。晒されている右側の瞳はアイスブルー。


同じだ。


そう思った瞬間、愛斗の心臓は意思とは関係なくドクンと大きく脈打った。

「お前、それ…」
「ん?」
「目、コンタクトか?」
「左側だけ違う」

無意識に手を伸ばし、レベッカの前髪を掻き上げる愛斗。褐色とアイスブルーの不自然な瞳の色に、ゴクリと息を呑む。

「マナと同じデース」

右目に伸ばされた手を思わず払い退け、愛斗は一度大きく深呼吸をした。そして、ふっとレベッカから視線を逸らし、「行くぞ」と先を急がせた。
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