執着王子と聖なる姫
バーンッ!と開かれた扉に身を固くしたのは、言うまでもなく愛斗で。そんな愛斗にご機嫌に擦り寄っていた千彩は、しかめっ面をする晴人の後ろで苦笑いのメーシーを見つけ、ペタペタと駆けて飛び付いた。
「めーしー!」
「おやおや。飛び付いたらお腹のbabyがびっくりするんじゃない?」
「そうやった!」
しっかりと千彩を受け止め、メーシーはゆっくりと頭を撫でる。気持ち良さげにそれを受けながら、千彩はギュッとメーシーの細い腰に腕を回した。
「あのね、マナがめーしーと一緒やった」
「ん?」
「ちさ、マナもめーしーも大好き!」
「ふふふっ。そんなこと言ったら、王子がヤキモチ焼いちゃうよ?」
怒りと嫉妬のオーラを隠そうともしない晴人をチラリと横目で見ながら、メーシーはやんわりと千彩を引き離す。当然いつものようにギャーギャーと煩く言われるものだとばかり思っていたメーシーは、卑怯ながら千彩を盾に一歩後ずさった。
「ちーちゃん、マナはセナのだってさっき言いましたよね?」
怒りの声を上げたのは、予想外に聖奈で。それに「おや?」っと首を傾げながら、メーシーは口元に手を当てた。
「わかってるって言ったよ?」
「わかってないじゃないですか!マナは誰にも渡しません!セナだけのマナなんですから!」
飛び付いた聖奈をソファに座ったままで受け止め、愛斗も「おや?」っとメーシーそっくりな顔で同じポーズを取る。
今まで強請られることはあっても、こうして声を荒げて嫉妬心を剥き出しにすることが少なかっただけに、「どした?」と愛斗は優しく問い掛けた。
「マナはセナのです…」
「おぉ」
「誰にもあげません」
「いや、俺は物じゃねーからな」
「マナのおバカさん!」
ギュッと抱き着く聖奈の長い髪を梳き、愛斗はコツンと額を合わせる。さすが海外育ちと言うべきか、大人達のことはもはや眼中に無い。
「ちーちゃん相手に妬いてんの?んなことありえねーって今朝話したばっかだけど」
「ちーちゃんだけじゃないです」
「ん?」
「今日一緒に居た女の人…」
「あぁ、レベッカな。あれは友達」
「マナに近付く人は皆嫌いです」
「んなこと言うな。俺のonly oneは聖奈だよ」
ちゅっと鼻先にキスをすると、滅多に泣かない聖奈の目からポロポロと涙がこぼれ落ちる。よっぽど不安だったか…と、それを指先で拭い、愛斗は聖奈の頭をペたりと自分の肩口へと抱き寄せた。
「悪かった。ごめん」
泣かせてごめん。と言うよりも、レベッカに惹かれてごめん、だ。それを口に出来るはずもなく、しゃくり上げる聖奈の背中をポンポンと叩き、愛斗は一段と声音を優しくした。
「めーしー!」
「おやおや。飛び付いたらお腹のbabyがびっくりするんじゃない?」
「そうやった!」
しっかりと千彩を受け止め、メーシーはゆっくりと頭を撫でる。気持ち良さげにそれを受けながら、千彩はギュッとメーシーの細い腰に腕を回した。
「あのね、マナがめーしーと一緒やった」
「ん?」
「ちさ、マナもめーしーも大好き!」
「ふふふっ。そんなこと言ったら、王子がヤキモチ焼いちゃうよ?」
怒りと嫉妬のオーラを隠そうともしない晴人をチラリと横目で見ながら、メーシーはやんわりと千彩を引き離す。当然いつものようにギャーギャーと煩く言われるものだとばかり思っていたメーシーは、卑怯ながら千彩を盾に一歩後ずさった。
「ちーちゃん、マナはセナのだってさっき言いましたよね?」
怒りの声を上げたのは、予想外に聖奈で。それに「おや?」っと首を傾げながら、メーシーは口元に手を当てた。
「わかってるって言ったよ?」
「わかってないじゃないですか!マナは誰にも渡しません!セナだけのマナなんですから!」
飛び付いた聖奈をソファに座ったままで受け止め、愛斗も「おや?」っとメーシーそっくりな顔で同じポーズを取る。
今まで強請られることはあっても、こうして声を荒げて嫉妬心を剥き出しにすることが少なかっただけに、「どした?」と愛斗は優しく問い掛けた。
「マナはセナのです…」
「おぉ」
「誰にもあげません」
「いや、俺は物じゃねーからな」
「マナのおバカさん!」
ギュッと抱き着く聖奈の長い髪を梳き、愛斗はコツンと額を合わせる。さすが海外育ちと言うべきか、大人達のことはもはや眼中に無い。
「ちーちゃん相手に妬いてんの?んなことありえねーって今朝話したばっかだけど」
「ちーちゃんだけじゃないです」
「ん?」
「今日一緒に居た女の人…」
「あぁ、レベッカな。あれは友達」
「マナに近付く人は皆嫌いです」
「んなこと言うな。俺のonly oneは聖奈だよ」
ちゅっと鼻先にキスをすると、滅多に泣かない聖奈の目からポロポロと涙がこぼれ落ちる。よっぽど不安だったか…と、それを指先で拭い、愛斗は聖奈の頭をペたりと自分の肩口へと抱き寄せた。
「悪かった。ごめん」
泣かせてごめん。と言うよりも、レベッカに惹かれてごめん、だ。それを口に出来るはずもなく、しゃくり上げる聖奈の背中をポンポンと叩き、愛斗は一段と声音を優しくした。