執着王子と聖なる姫
幼稚園、小・中・高と同じだった「明治」は、それはそれは卑屈な少年で。自分で「素直に育った」と言い切るから敢えて否定することはしなかったけれど、少しだけ年上の志保は、そんな「明治」を弟のように思ってきた。
「アキちゃんはいつまで経っても変わらないね」
志保のその言葉は、遠い昔を懐かしんだが故に出た言葉だった。
「俺のこと何でも知ってる風に言うなよ」
「何でも知ってるよ?」
「志保がそんな風に言うから、いつまで経っても麻理子にここのこと言えないんだろ」
「いいじゃない、今更。それに、マリコ姫のことはよく知ってる」
苛立つメーシーに、レベッカはふふふっと笑い声を洩らす。
「アキ、ここに居るとマナそっくり」
「俺が?冗談じゃない。俺はあんなに俺様じゃないよ」
「他では、ね。アキちゃんは猫かぶりだから。昔から家族の前でもそうだしね」
「志保、余計な口出しすんな」
「はーい」
ペロッと舌を出して引っ込んだ志保の代わりに、レベッカが言葉を続けた。
「マナはマリコに似てるのかと思ってたけど、本当はアキだった」
「バラしちゃダメだよ?レベッカ」
「髪、また切ってくれる?そしたら秘密にしておく」
うふふっと笑うレベッカの顎を引き、「お安いご用意さ」と唇を近付けるメーシー。それを指先で止め、レベッカは再び笑い声を洩らした。
「kissは初回限定」
「あれ?俺の愛人になりたかったんじゃなかったの?」
「本気になりそうだから、kissはダメ」
そう言って笑うレベッカに、「なっちゃえばいいのに」とメーシーも笑う。
他に客が居れば、お似合いのカップルだと思ってもらえるだろうか。そんな風に思いながら、レベッカはメーシーの形の良い唇を指先でそっと撫ぜた。
「kissはダメ。でも、他なら何だってする。アキが喜ぶことなら何でも」
「何でも?」
「うん」
メーシーにも、今まで一度もそういったチャンスがなかったわけではない。志保が言うように、若い頃からよくモテた。それは、メーシー自身も自覚している。
「俺に愛を誓ってって言ったら?」
「喜んで」
「ふふっ。やっぱり面白い子だ」
二択を迫られれば確実に選ぶのはマリだけれど、レベッカに興味を抱いていないと言えば嘘になる。マナが切り捨てないのもわかるよ。と、メーシーはレベッカの髪を撫ぜながらそんなことを思った。
「アキちゃんはいつまで経っても変わらないね」
志保のその言葉は、遠い昔を懐かしんだが故に出た言葉だった。
「俺のこと何でも知ってる風に言うなよ」
「何でも知ってるよ?」
「志保がそんな風に言うから、いつまで経っても麻理子にここのこと言えないんだろ」
「いいじゃない、今更。それに、マリコ姫のことはよく知ってる」
苛立つメーシーに、レベッカはふふふっと笑い声を洩らす。
「アキ、ここに居るとマナそっくり」
「俺が?冗談じゃない。俺はあんなに俺様じゃないよ」
「他では、ね。アキちゃんは猫かぶりだから。昔から家族の前でもそうだしね」
「志保、余計な口出しすんな」
「はーい」
ペロッと舌を出して引っ込んだ志保の代わりに、レベッカが言葉を続けた。
「マナはマリコに似てるのかと思ってたけど、本当はアキだった」
「バラしちゃダメだよ?レベッカ」
「髪、また切ってくれる?そしたら秘密にしておく」
うふふっと笑うレベッカの顎を引き、「お安いご用意さ」と唇を近付けるメーシー。それを指先で止め、レベッカは再び笑い声を洩らした。
「kissは初回限定」
「あれ?俺の愛人になりたかったんじゃなかったの?」
「本気になりそうだから、kissはダメ」
そう言って笑うレベッカに、「なっちゃえばいいのに」とメーシーも笑う。
他に客が居れば、お似合いのカップルだと思ってもらえるだろうか。そんな風に思いながら、レベッカはメーシーの形の良い唇を指先でそっと撫ぜた。
「kissはダメ。でも、他なら何だってする。アキが喜ぶことなら何でも」
「何でも?」
「うん」
メーシーにも、今まで一度もそういったチャンスがなかったわけではない。志保が言うように、若い頃からよくモテた。それは、メーシー自身も自覚している。
「俺に愛を誓ってって言ったら?」
「喜んで」
「ふふっ。やっぱり面白い子だ」
二択を迫られれば確実に選ぶのはマリだけれど、レベッカに興味を抱いていないと言えば嘘になる。マナが切り捨てないのもわかるよ。と、メーシーはレベッカの髪を撫ぜながらそんなことを思った。