執着王子と聖なる姫
軽くシャワーを浴びてバスルームの扉を開くと、そこに妹が居た。しかも、下着一枚の姿で。

「何してんの、お前」
「シャワー浴びるのよ」
「相変わらず遠慮の欠片も無いね。胸も無いけど」
「うるさいわねっ!さっさと出てよ!」

擦れ違いざまに、パシンとお尻を叩いてやる。

どうなんだ、これは。16にもなって兄貴に包み隠さず見せる妹なんて、聞いたことがない。

「お前さ、もうちょっと考えた方がいいよ?」
「何を?」
「俺裸だし、お前裸だし。人から見れば怪しいよ?俺ら」
「マナの裸なんてもう見慣れたわよ」
「そうじゃなくてさ」

細い腰を引き寄せ、ふにっと胸を掴んでやる。

うん。
前から掴もうが後ろから掴もうが、実に残念なサイズだ。

「こうゆうことされても文句言えねーよ?俺も男だし?」

ピタリと頬を寄せ耳元で押し出すのは、いつもよりも甘い声。そう…女を誘うような、そんな声。

「驚いた!そんな趣味!?」
「んなわけねーだろ」

パシンと頭を叩き、バスルームへと押し込む。残念な妹だ。我が家は残念な奴の集まりか。

そんなことを思いながらリビングへ戻ると、両親がいたはずのそこに見知らぬおじさんが居た。
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