執着王子と聖なる姫
「お前はさ、何でそうも理由を知りたがるわけ?どうしてですか?は俺の方だよ」
「ひゃっへ…」
「うん。食ってから喋ろうな」

こんなのはお手の物だ。伊達にあんな妹の面倒を見てはいない。

「まぁ、そう言わんと。勘弁したってや」
「いや、別に悪いとは言ってないですけどね」
「可愛いじゃないか、セナちゃん。色々教えてあげれば?」

ふふふっと笑うそこに、あってはならないイヤミの色を感じるのは何故だろう。嫌な男だ、まったく。

「ちーちゃんみたいに育てようと思ってたんやけどなー」
「誤算ってやつですね」
「そうそう。もうその苦労言うたら…聞くも涙、語るも涙やけど聞く?」
「いや、いいっす」

どうもこの…関西弁というやつは、軽く聞こえて仕方がない。偏見というやつなのだろうけれど。

「ケイ坊はずっと一緒だったからね。生まれる時だって大騒ぎだったし」
「せやで、ほんま。どんだけセナのために育児書読んだことか」
「ケイ坊も大概過保護だからね」
「だって可愛いやん!俺の娘みたいなもんやで、セナは」
「だから婚期逃すんだっつーの」
「逃してへんわ!ちゃんとしましたー。ええわなぁ、お前らは。さっさと結婚しやがって!」

大人二人のやり取りをじっと聞きながら、セナはまだモグモグと口を動かしている。
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