執着王子と聖なる姫
別にどうこうしてやろうとは思わないけれど、これくらいの楽しみがあってもいいのではないかと思う。慣れない日本で、妹の子守ばかりでは疲れるというものだ。俺にだって気晴らしの一つや二つは必要ではないだろうか。
と、こっそりと青少年なりの主張をしてみる。
「彼女いる?」
「気になる?」
「気になる」
「Why?」
問い掛けたのは自分なのに、ぷっと噴き出してしまった。何とも失礼な話だ。
「何?」
「いや、何でもねーよ」
まさかセナの「どうしてですか?」を思い出したなどと言えるはずもなく、頬杖をついていたその手のひらでニヤつく口元を覆い隠した。彼女はそれ以上踏み込んでは来ない。もう少し楽しめると思ったけれど、残念なことにそうでもなさそうだ。
「俺はやめといた方がいいよ?」
右目を指してそう言うと、パッと視線が逸らされる。こうゆう奴を見ると、悪戯したくなる。きっとこれは父譲りだ。あの人は尻に叱れているようで、実に上手く操っている。母も、妹も。男としては理想だろう。
「木元さんは、彼氏いるの?」
「私?いないけど…」
遠慮がちに視線が戻される。同じようにペたりと胸を机につけて見上げると、じわりと頬が紅潮して行く。変に塗りたくられたチークなんかより、俺はこっちの方が好きだ。
「俺、木元さんはノーメイクの方が可愛いと思う」
「え、そう?」
「俺はノーメイクの子が好き」
悪い顔立ちはしていないと思う。けれど、うちには美女が二人も居るのだ。幼い頃からそれに慣れていれば、ちょっとやそっとの美女では満足がいかない。不幸な境遇だと思う。
贅沢な悩みだ!と、あっちの友達が言っていたけれど。
「うちの父親、プロなんだ。女の子はノーメイクが一番だっていつも言ってる」
「お父さん有名なの?」
「ん?有名だよ。MEIJIって知ってる?」
「あっ!知ってる!」
「その人、うちの父親。佐野明治、48歳の二児の父」
「凄いっ!かなり有名じゃない!」
オシャレに興味のある女ならば、父の名前を出せば大概は目を輝かせる。
それを餌に釣るつもりはないけれど、こんな反応は好きだ。何せ、俺にとったら自慢の父なのだから。
と、こっそりと青少年なりの主張をしてみる。
「彼女いる?」
「気になる?」
「気になる」
「Why?」
問い掛けたのは自分なのに、ぷっと噴き出してしまった。何とも失礼な話だ。
「何?」
「いや、何でもねーよ」
まさかセナの「どうしてですか?」を思い出したなどと言えるはずもなく、頬杖をついていたその手のひらでニヤつく口元を覆い隠した。彼女はそれ以上踏み込んでは来ない。もう少し楽しめると思ったけれど、残念なことにそうでもなさそうだ。
「俺はやめといた方がいいよ?」
右目を指してそう言うと、パッと視線が逸らされる。こうゆう奴を見ると、悪戯したくなる。きっとこれは父譲りだ。あの人は尻に叱れているようで、実に上手く操っている。母も、妹も。男としては理想だろう。
「木元さんは、彼氏いるの?」
「私?いないけど…」
遠慮がちに視線が戻される。同じようにペたりと胸を机につけて見上げると、じわりと頬が紅潮して行く。変に塗りたくられたチークなんかより、俺はこっちの方が好きだ。
「俺、木元さんはノーメイクの方が可愛いと思う」
「え、そう?」
「俺はノーメイクの子が好き」
悪い顔立ちはしていないと思う。けれど、うちには美女が二人も居るのだ。幼い頃からそれに慣れていれば、ちょっとやそっとの美女では満足がいかない。不幸な境遇だと思う。
贅沢な悩みだ!と、あっちの友達が言っていたけれど。
「うちの父親、プロなんだ。女の子はノーメイクが一番だっていつも言ってる」
「お父さん有名なの?」
「ん?有名だよ。MEIJIって知ってる?」
「あっ!知ってる!」
「その人、うちの父親。佐野明治、48歳の二児の父」
「凄いっ!かなり有名じゃない!」
オシャレに興味のある女ならば、父の名前を出せば大概は目を輝かせる。
それを餌に釣るつもりはないけれど、こんな反応は好きだ。何せ、俺にとったら自慢の父なのだから。