執着王子と聖なる姫
「大人…」
「はい。大人になりましょう。ね?」
「何か…お前に言われるとすっげー腹立つわ」
へにゃへにゃと体の力が抜けて行く。座り込んだ俺の頭を、予想していたものとは違う大きな手が撫でた。
「惚れた弱みだな。諦めろ」
「お前ね…そうゆうこと親の前で言うの止めようよ」
チラリと顔を上げると、龍二が笑っていた。クールな顔を、クシャッと崩して。
「今度会わせろよ、愛斗の妹」
「いいけど…あれと同じ顔よ?」
「そりゃ大した美人じゃねぇか」
「ヤダ。素直な子!」
「黙ろうか、マリー。そして息子の友達の前でイチャつくな。ちょっとは控えろ」
素早くツッコんだものの、潤んだその大きな瞳にチクリと胸が痛む。
「悪かったよ。酷いこと言って」
差し出した手を握ったのは、父だった。それはそれはとても恐ろしい目をした、佐野明治48歳、実の父…のはず。
「今回だけ特別に許してやる。でも、次はねーぞ?」
「はい。どーもすみません」
「メーシー怒ってはダメです。子供はこうして成長して行くのです」
「あははっ。セナちゃんには敵わないねー」
再び抱き上げられたセナは不満げだ。ぶぅっと頬を膨らせ、ポカンと父の肩を叩く。
「セナは小さい子ではありません。高校生です」
「いいじゃないか。ちょっとくらい抱っこさせて?」
「セナはメーシーの一番ではありません」
あぁ、マズイ。これはとんでもない。
ちょんと降りてペタペタと近付いて来たセナの口を塞ごうと手を伸ばしたけれど、ニヤッと笑う龍二に阻止されてそれは叶わなかった。
「セナはマナの一番です。人様の一番に手を出すのは悪いことです!」
ビシッと右手の指をL字に出し、左手を腰に。妹もよくやるポーズだけれど、如何せん事が事だけに控えてほしかった。切実にそう思う。
その後男二人に尋問され、くたくたになったのは言わずもがな、だ。
「はい。大人になりましょう。ね?」
「何か…お前に言われるとすっげー腹立つわ」
へにゃへにゃと体の力が抜けて行く。座り込んだ俺の頭を、予想していたものとは違う大きな手が撫でた。
「惚れた弱みだな。諦めろ」
「お前ね…そうゆうこと親の前で言うの止めようよ」
チラリと顔を上げると、龍二が笑っていた。クールな顔を、クシャッと崩して。
「今度会わせろよ、愛斗の妹」
「いいけど…あれと同じ顔よ?」
「そりゃ大した美人じゃねぇか」
「ヤダ。素直な子!」
「黙ろうか、マリー。そして息子の友達の前でイチャつくな。ちょっとは控えろ」
素早くツッコんだものの、潤んだその大きな瞳にチクリと胸が痛む。
「悪かったよ。酷いこと言って」
差し出した手を握ったのは、父だった。それはそれはとても恐ろしい目をした、佐野明治48歳、実の父…のはず。
「今回だけ特別に許してやる。でも、次はねーぞ?」
「はい。どーもすみません」
「メーシー怒ってはダメです。子供はこうして成長して行くのです」
「あははっ。セナちゃんには敵わないねー」
再び抱き上げられたセナは不満げだ。ぶぅっと頬を膨らせ、ポカンと父の肩を叩く。
「セナは小さい子ではありません。高校生です」
「いいじゃないか。ちょっとくらい抱っこさせて?」
「セナはメーシーの一番ではありません」
あぁ、マズイ。これはとんでもない。
ちょんと降りてペタペタと近付いて来たセナの口を塞ごうと手を伸ばしたけれど、ニヤッと笑う龍二に阻止されてそれは叶わなかった。
「セナはマナの一番です。人様の一番に手を出すのは悪いことです!」
ビシッと右手の指をL字に出し、左手を腰に。妹もよくやるポーズだけれど、如何せん事が事だけに控えてほしかった。切実にそう思う。
その後男二人に尋問され、くたくたになったのは言わずもがな、だ。