執着王子と聖なる姫
「マナ!出かけましょうよ!」
アクアブルーのスリップドレスの裾が、ひらりと揺れる。
あまりの暑さにソファでくたばっていた俺は、よいしょと馬乗りになる妹を避けることさえせずに、二階から持って降りて来ていたハードカバーの本をテーブルの上へと手放した。
「まーなー」
覗き込む瞳は、父と同じ褐色。母から右目だけを受け継いだ俺とは違い、妹は両目共その色だ。それを羨んだ時期もあった。
「マナってば」
「うっせー。聞こえてるっつーの」
「だったら返事くらいしなさいよね」
「黙れ、この生意気娘が。出かけるなって言われただろ」
胸の上で支えにされていた腕を引くと、べしゃりと俺の上に倒れ込む妹。ちょうど胸が顔に当たったけれど、貧相なものだから心地好さは微塵も感じなかった。
こんなところまで母に似なくとも良かったのに…と、我が妹ながら哀れに思う。
「手のひらサイズ。残念な胸」
「なっ…!」
「お前ホントそっくりだな、マリーに」
「うるさいわね!」
「揉んだらデカくなんじゃねーの?よし、お兄様が揉んでやる」
「うるさーい!」
ふにふにと胸を揉まれながら、顔を真っ赤にして抗議の言葉を繰り出す妹。しかも、俺に馬乗りになったまま。
俺達にとっては日常茶飯事の、所謂「ちょっと過剰なスキンシップ」というやつなのだけれど、よそ様から見れば完全に危ない兄妹関係だ。
アクアブルーのスリップドレスの裾が、ひらりと揺れる。
あまりの暑さにソファでくたばっていた俺は、よいしょと馬乗りになる妹を避けることさえせずに、二階から持って降りて来ていたハードカバーの本をテーブルの上へと手放した。
「まーなー」
覗き込む瞳は、父と同じ褐色。母から右目だけを受け継いだ俺とは違い、妹は両目共その色だ。それを羨んだ時期もあった。
「マナってば」
「うっせー。聞こえてるっつーの」
「だったら返事くらいしなさいよね」
「黙れ、この生意気娘が。出かけるなって言われただろ」
胸の上で支えにされていた腕を引くと、べしゃりと俺の上に倒れ込む妹。ちょうど胸が顔に当たったけれど、貧相なものだから心地好さは微塵も感じなかった。
こんなところまで母に似なくとも良かったのに…と、我が妹ながら哀れに思う。
「手のひらサイズ。残念な胸」
「なっ…!」
「お前ホントそっくりだな、マリーに」
「うるさいわね!」
「揉んだらデカくなんじゃねーの?よし、お兄様が揉んでやる」
「うるさーい!」
ふにふにと胸を揉まれながら、顔を真っ赤にして抗議の言葉を繰り出す妹。しかも、俺に馬乗りになったまま。
俺達にとっては日常茶飯事の、所謂「ちょっと過剰なスキンシップ」というやつなのだけれど、よそ様から見れば完全に危ない兄妹関係だ。