執着王子と聖なる姫
そう、こんな風によそ様から見れば。
「…っ!」
がちゃりとリビングの扉が開いたかと思えば、見知らぬ少女が白いスカートの裾を翻して玄関へと戻って行った。しかも、口をパクパクさせて。勿論、じゃれていた俺達はそのままキョトンだ。
「こらこらー。何やってんの?」
「何って…レイと遊んでる」
「もう高校生なんだから、そうゆうことしないの。君らは兄妹だよ?」
「いや、兄妹だからやってるし」
「ホント困ったちゃんなんだから、二人とも」
ふふふっと笑いながら入って来た父の後ろには、俺達のその様子を見て両手を広げて呆れている母。そしてその後ろには、見覚えがあるような無いような夫婦?が一組と、その夫婦?の娘だろう少女が一人。
「いつまで寝てるの、マナ。ちゃんとご挨拶して」
促され妹の腰に腕を回し、腹筋だけで起き上がる。すると、今度は揺らされた妹の上体が後ろに倒れかかった。それを慌てて支え、ぺたりと胸に引き寄せる。
「久しぶりやな、愛斗。覚えてるか?」
にっこりと笑って手を振る…おじさん?おそらく、年は両親と然程変わらないだろうその人は、どこかで見たような、見ていないような。その隣のお姉さんも、そのまた隣の少女も同じだ。
「すいません。わかんないっす」
そのまま腕の中に収まった妹の髪を撫ぜながら言うと、そのおじさん?はまた笑った。
「よぉここまで似るな。遺伝子怖っ!」
「だろ?びっくりするくらい似てるんだよ」
「若い時のお前ら、きっとこんなんやったんやろな」
「俺もそう思いたいんだけどねー。如何せん二人とも性格が麻理子に似ちゃったもんだから…」
「もうっ!そんなことどうでもいいから、さっさとランチにしましょうよ!」
「あぁ…うん、そうだね。マナ、レイ、手伝ってくれる?」
相変わらず母にめっぽう弱い父は、その一言でさっさと動ける素晴らしい人物だ。ここで動かなければ後で拗ねられることがわかっている俺達も、さっさと腰を浮かせられる素晴らしい兄妹だと誰か褒めてほしい。
「で、あの人達誰なの?メーシー」
ランチの準備を手伝いながら、妹がコソコソと父に擦り寄る。パパだろ。と言いながらも、「愛するマリー」そっくりの愛娘に擦り寄られ、父もまんざらではなさそうだ。
「あれはね、王子と姫だよ。パパとママの友達」
「あぁ、あれが」
「王子」と「姫」と言えば、幾度となく聞いた名前だ。
日本で働いていた時の仲間で、ずっと一緒に居た友達だと聞いている。王子は「ハル」というカメラマンで、あっちでも有名だった。モデル時代の母が絶対的な信頼を寄せていたらしく、我が家にはハルさんが撮った「MARI」の写真が何百枚も保管されている。
「…っ!」
がちゃりとリビングの扉が開いたかと思えば、見知らぬ少女が白いスカートの裾を翻して玄関へと戻って行った。しかも、口をパクパクさせて。勿論、じゃれていた俺達はそのままキョトンだ。
「こらこらー。何やってんの?」
「何って…レイと遊んでる」
「もう高校生なんだから、そうゆうことしないの。君らは兄妹だよ?」
「いや、兄妹だからやってるし」
「ホント困ったちゃんなんだから、二人とも」
ふふふっと笑いながら入って来た父の後ろには、俺達のその様子を見て両手を広げて呆れている母。そしてその後ろには、見覚えがあるような無いような夫婦?が一組と、その夫婦?の娘だろう少女が一人。
「いつまで寝てるの、マナ。ちゃんとご挨拶して」
促され妹の腰に腕を回し、腹筋だけで起き上がる。すると、今度は揺らされた妹の上体が後ろに倒れかかった。それを慌てて支え、ぺたりと胸に引き寄せる。
「久しぶりやな、愛斗。覚えてるか?」
にっこりと笑って手を振る…おじさん?おそらく、年は両親と然程変わらないだろうその人は、どこかで見たような、見ていないような。その隣のお姉さんも、そのまた隣の少女も同じだ。
「すいません。わかんないっす」
そのまま腕の中に収まった妹の髪を撫ぜながら言うと、そのおじさん?はまた笑った。
「よぉここまで似るな。遺伝子怖っ!」
「だろ?びっくりするくらい似てるんだよ」
「若い時のお前ら、きっとこんなんやったんやろな」
「俺もそう思いたいんだけどねー。如何せん二人とも性格が麻理子に似ちゃったもんだから…」
「もうっ!そんなことどうでもいいから、さっさとランチにしましょうよ!」
「あぁ…うん、そうだね。マナ、レイ、手伝ってくれる?」
相変わらず母にめっぽう弱い父は、その一言でさっさと動ける素晴らしい人物だ。ここで動かなければ後で拗ねられることがわかっている俺達も、さっさと腰を浮かせられる素晴らしい兄妹だと誰か褒めてほしい。
「で、あの人達誰なの?メーシー」
ランチの準備を手伝いながら、妹がコソコソと父に擦り寄る。パパだろ。と言いながらも、「愛するマリー」そっくりの愛娘に擦り寄られ、父もまんざらではなさそうだ。
「あれはね、王子と姫だよ。パパとママの友達」
「あぁ、あれが」
「王子」と「姫」と言えば、幾度となく聞いた名前だ。
日本で働いていた時の仲間で、ずっと一緒に居た友達だと聞いている。王子は「ハル」というカメラマンで、あっちでも有名だった。モデル時代の母が絶対的な信頼を寄せていたらしく、我が家にはハルさんが撮った「MARI」の写真が何百枚も保管されている。