執着王子と聖なる姫
「セナ、食べる物貰ってきますね?お腹が空きました。ついでにはるを止めてきます。ちーちゃんを怒らせると後で大変です」
「ん?マリーに酒飲まされんなよ?」
「大丈夫です。マナも何か貰ってきましょうか?」
「んー…俺はいいや」
そうですか。と短く返事をし、ふらりと庭へ出ていくセナ。捕まって当分は戻って来れないだろう。と、置きっぱなしにされた二枚のワンピースを紙袋に戻すために手に取った。
「それ、ちーちゃんとセナへの貢ぎ物やねん」
「みたいですね。作ったんですか?凄い凝ってますね」
「市販のやつにちょっと手加えただけやで。同じ型のワンピースを、違う感じにアレンジしてん」
言われて内側をめくると、ブランドのタグが付いている。なるほど…と、手を加えただろう箇所を確認する。
「服飾興味あんのか?」
「あぁ、はい。でも俺は、作るよりデザインの方が好きですけど。こないだセナの服の買ったんですけど、丈直しにちょっと苦戦しました」
「貸してみ?ちょっと見たるわ」
じゃあ持って来ます。と軽く返事をし、奥の和室へと取りに行く。昨日の夜に仕上がったばかりのワンピースを手渡すと、ケイさんの細い目が見開いた。
「これ…愛斗がしたん?」
「はい。ちょっと手間取りましたけど、なかなかいい出来だと思います」
「へぇ…器用やなぁ。シフォン生地は俺でも苦戦すんのに。さすがメーシーの息子」
チビのくせに大人向けのブランドを着たがる妹のおかげで、丈直しくらいはお手の物だ。妹のクローゼットの中にある大量の洋服には、殆ど俺の手が加えられている。
「しかもこれC-Aliceのやつやん」
「あぁ…確かそんな名前の店だったような…」
「知らんと買うたんかいな」
「はい。たまたまショーウインドーにそれがあるのを見つけて、ふらっと入った店なんで」
「ふらっと入ってC-Aliceか…それはマリちゃんの血かな。いや、セナの目敏さか」
ははっと軽く笑いながら、ケイさんの目は切り替え部分の縫い目に釘付けだ。プロの目からすればまだまだかもしれないけれど、それなりに自信はある。
いや…それ以前に、ケイさんはスタイリストだった気がしなくもない。
「ん?マリーに酒飲まされんなよ?」
「大丈夫です。マナも何か貰ってきましょうか?」
「んー…俺はいいや」
そうですか。と短く返事をし、ふらりと庭へ出ていくセナ。捕まって当分は戻って来れないだろう。と、置きっぱなしにされた二枚のワンピースを紙袋に戻すために手に取った。
「それ、ちーちゃんとセナへの貢ぎ物やねん」
「みたいですね。作ったんですか?凄い凝ってますね」
「市販のやつにちょっと手加えただけやで。同じ型のワンピースを、違う感じにアレンジしてん」
言われて内側をめくると、ブランドのタグが付いている。なるほど…と、手を加えただろう箇所を確認する。
「服飾興味あんのか?」
「あぁ、はい。でも俺は、作るよりデザインの方が好きですけど。こないだセナの服の買ったんですけど、丈直しにちょっと苦戦しました」
「貸してみ?ちょっと見たるわ」
じゃあ持って来ます。と軽く返事をし、奥の和室へと取りに行く。昨日の夜に仕上がったばかりのワンピースを手渡すと、ケイさんの細い目が見開いた。
「これ…愛斗がしたん?」
「はい。ちょっと手間取りましたけど、なかなかいい出来だと思います」
「へぇ…器用やなぁ。シフォン生地は俺でも苦戦すんのに。さすがメーシーの息子」
チビのくせに大人向けのブランドを着たがる妹のおかげで、丈直しくらいはお手の物だ。妹のクローゼットの中にある大量の洋服には、殆ど俺の手が加えられている。
「しかもこれC-Aliceのやつやん」
「あぁ…確かそんな名前の店だったような…」
「知らんと買うたんかいな」
「はい。たまたまショーウインドーにそれがあるのを見つけて、ふらっと入った店なんで」
「ふらっと入ってC-Aliceか…それはマリちゃんの血かな。いや、セナの目敏さか」
ははっと軽く笑いながら、ケイさんの目は切り替え部分の縫い目に釘付けだ。プロの目からすればまだまだかもしれないけれど、それなりに自信はある。
いや…それ以前に、ケイさんはスタイリストだった気がしなくもない。