COLORS~Clear~
私は、一瞬ハッとして。


「私までお茶、点ててもらっちゃって。ごめんなさいね」


ごまかすわけではないけど。
視線はそらさずに、また霧島クンに微笑みかけた。


「えっ?あ、いえ…」
「あら。透子まで?」
「そうなの。私は得しちゃったんだけど」


霧島クンはほんの一瞬、戸惑っていたけど。


「いえ…。透子さんの感想は為になるので、僕の方からお願いして、点てさせてもらってます」


完璧とも言える、模範解答。


「沙奈に稽古をつけてくれてるだけでも申し訳ないのに。謙虚ね~。次期、家元の言葉とは思えないわ」
「いえ…。そんなことは…」


それを聞いて。
隣の席で、沙奈がプッと笑う。

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