COLORS~Clear~
「たまたま忽那の家に生まれてきただけよって」
「たまたま、ですか?」


それを聞いて、母が苦笑いする。


「そう。たまたま。だから、常に感謝するようにって。つまりは、勘違いするなってことね」
「そうそう」


沙奈も。


「だから。面倒を見てくれるのは、大学を卒業するまでって決まりもあってね」
「えっ?」
「家には置いてくれるけど。働かざる者食うべからず?欲しいものも、自分で働いて買いなさいって」
「えっ、そう、なんですか?」
「そっ。だから私も、面倒みてもらえるのは大学卒業するまでなの」


それを聞いて、最初は唖然としてた彼の表情が。
何か、納得したような表情に変わって。

< 103 / 328 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop