COLORS~Clear~
そのうち1回は、食後にお茶を点ててくれて。


「もう、お稽古済んだんでしょ?」


さすがに遠慮したけど。


「俺…僕の勉強にもなりますから。ぜひ」


そんなやり取りを、何度しても。


「気遣いはなしですよ。僕が頼んでるんで」


まだ高校生。
あまり長い時間、引き止めるのは…思ってのことなのに。
意外と頑固…なのか。


―感想が聞きたいのかもしれない


じゃあ、と、頷いて、伝えようとすると。


「今日は、いいです」


私に気を遣って、なのか。
ただ、点ててもらうだけになってしまった。

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