COLORS~Clear~
ただ。
沙奈に訊かれたところで、


『そうね。昨日は…』


なんて。
嬉しそうに話す気は、もちろんなく。


「ね。お姉ちゃんってば」


私は、興味津々な沙奈ににっこり微笑むと。


「沙奈の想像に任せるわ」


言って、また微笑んで見せた。


「うわ。出た。お姉ちゃんの秘密主義」


そんな私に、沙奈はかなり不満顔だったけど。
母の前ではともかく。

霧島クンの前でなんて、尚更話すようなことじゃなくて。

視界の片隅。
霧島クンが、ホッとしてるのが見てとれる。

そう。
霧島クンにとっては、私と郁サンの話なんて、聞いても仕方ない。

霧島クンには、興味すらないだろう話。

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