COLORS~Clear~
それでも、


「今はまだまだですけど。レアですよ。僕の稽古。いずれ、高名になる予定ですから」


軽く、笑い混じりではあるけど。
霧島クンが言う。

ほんとに、お茶が好きなんだろう、感じる。

けど。


「そうね。ありがとう。でも、やっぱり。だからこそ余計に、お願いするなんて厚かましいわ」


そう。
やっぱり、受けるなんて申し訳なくて。


「そうね。ご好意とはいえ。さすがに透子まで甘えるのは申し訳ないわね」


母も。
やんわり、口にする。


それを聞いて。


「それなら。図々しいですけど、正式に、稽古をつけませんか?」


霧島クンの顔付きが、また変わる。


「えっ…?」
「祖父や父には、そろそろ生徒をとってもいい頃だって言われてるので。最初は、体験という形で。どうですか…?」


さっきとはまた違う。
ドキッとするような、大人の、男の表情(カオ)…。

< 162 / 328 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop