COLORS~Clear~
その後も。
霧島クンは、いつものように話していたけど。

やっぱり表情は、どこかせつなげで。

私はそれが。
沙奈が言ってた、昨日のことと繋がっていることも。
霧島クンがいま抱えている、彼を一番占めている悩み事だと言うこともわからないまま。

そう。
その原因が私にあるという事も。

まだ、この時は…。


「どうも。ごちそうさまでした」
「いいえ。明日もぜひ、食べていってね」
「ありがとうございます」
「明日ね、霧島」
「おぉ」
「気をつけて。お稽古の件。考えてみるわね」
「はい。いい返事、待ってます」


食事を終えて。
私は霧島クンを、そのまま見送った。

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