COLORS~Clear~
そして。
ほんの数回のコールで、


『もしもし』


すぐに霧島クンが出て。


「もしもし?忽那です」
『あ、はい。こんばんは』


いつもとは少し違って、耳に響く声。


「こんばんは。遅くにごめんなさい」
『いえ。全然、大丈夫です』


そう。
いつもよりも、近くに感じて…。


「お稽古だったの?」
『あ、はい。今日は祖父の稽古で…』
「そう。夕食の時に会えなかったから。忙しいのに、沙奈のお稽古ありがとう」
『いえ。自分の練習にもなりますから』


電話越しのせいなんだろう。


「ほんとに。無理はしてない?」
『はい。全く』
「そう…」


なぜか、少し緊張していた。

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