COLORS~Clear~
でも。
やっぱり、


―リビングで…


言い出そうとした時。


「透子。そうなさい」


母が私を見て。


「えっ?でも…」
「霧島クンには、これからデザートお出しするから」
「えっ?」
「そうなの、ママ?」
「説明の最中に、お腹を鳴らされてたら。霧島クンも説明できないでしょ?」


苦笑いした。


「霧島クン。ゆっくり召し上がって」
「あ、はい。ありがとう、ございます」


確かに。
言われてみると、食事をしてない私に、もっと霧島クンは気を遣うかもしれない。


「ごめんなさい、霧島クン」
「いいえ。全然」


母が言うように、お腹が鳴るほど空腹だったわけではないけど。
霧島クンには、デザートを食べて待ってもらうことにした。

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