COLORS~Clear~
でも……。


「これから。生徒さん、募っていくの?」
「あ、はい。そうですね。本格的に」


そのことに、私はその時、気づいていなくて。


「ますます忙しくなるのね」
「どうかな…。そんなに生徒がついてくれるか…。とりあえず、初心者を募ることになると思うんで」
「初心者、なの?」
「はい」


霧島クンに、ほんとに普通に話しかけていた。

そんな私に。


「あ。透子さんは、特別です」
「えっ…?」


霧島クンが、笑って見せた。
見せて。


「透子さん程なら、ほんとは父か祖父の方がいいんだろうけど。どうしても、僕が稽古をつけたくて」


私の目を。
まっすぐみつめた。


< 200 / 328 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop