COLORS~Clear~
でもきっと。
一番ひっかかってるのは、あの視線。

口にする言葉よりも。
すべてを物語っているような気がして…。

もし。
あの視線が、


―私だけに向けられてるものだったら?


タオルで髪を拭きながら。
私は、鏡に映った私を見る。


―私、だけ…?


見て。

ふっ…と。
笑ってしまった。

そう。
やっぱりそんなこと、あるわけないって。

歳の差もそうだけど。
霧島クンは、私が郁サンと婚約してることを知ってる。

それに。

沙奈に稽古をつけてくれてたのも、郁サンにお茶を点てる為だと知ってのこと。

そんなふうに考えてしまう私が、どうかしてる。

やっぱり。
ちょっと霧島クンの言葉に、浮かれてしまったのかもしれない。

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