COLORS~Clear~
ここは、


―大人しくしておこう…


それが一番の得策だと思った。


「まぁ、兄の俺から見ても、透子はどこか冷めてるからな…。大変だと思いますけど、宜しく頼みます。鷹梨さん」
「あら。透子チャンは冷めてはいないと思うけど。ただ表情(カオ)に出さないだけで」


沙奈から始まって。
母に、兄や義姉までも…で。

でも。
さすが郁サン。

この“いたずら”を含めて、あっという間に、私たち家族の中に溶け込んで。

さりげに、私への気持ちまで織り混ぜて…。


「君と結婚できる透子は幸せ者だな」
「ありがとうございます。僕の方こそ、幸せ者です」


この、ほんの僅かな時間で。


「そう言って貰えると嬉しいよ」
「ほんと。良かったわね、透子」


更に父と母の心を、しっかりと掴んでしまった。

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