COLORS~Clear~
子供の幸せを。
願わない親はいない…。

父も母も。
心の底から、ホッとしたような柔らかい表情を浮かべていて。

私ももう、27歳。
両親に、心配をかけていたんだろう。

仕事ばかりで。
恋愛している素振りを見せない私に…。

自分で結婚相手を選ぶことはないだろう、思って見せていた素振りだったけど。
裏目に出ていたのかもしれない。

そう思うと。
思わず、涙が出そうになってしまったけど。

その時。


―とくん…


そんな私を察したかのように。

さっきとは違う。

テーブルクロスの下。
気遣うように、郁サンが私の手を握ってくれて…。


“───────”


私は彼の大きさを。
改めて、感じていた。

私のことを。
まるごと包んでくれる人……──。

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