COLORS~Clear~
「…悪い」


そっと、唇が離れて。


「えっ…?」
「我慢、出来なかった…」


郁サンが、ボソッと呟く。

その、ちょっとばつが悪そうな顔が、妙にかわいく見えて。
思わず、


―かわいい


のどまで出かかったけど。
私はその言葉を飲み込んで…。


「ううん…」


ただ。
静かに微笑んだ。

かわいい、なんて。
火に油を注いでしまうようなもの。

郁サン曰く、

“ペナルティ”

に、されてしまう。


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